医療情報
ぜんそくの現在の治療法は?
「吸入ステロイド」が有効
初期から投与、副作用も軽く
Q. 数年前に喘息を発症しました。「吸入ステロイド」を処方されているのですが、副作用が気になります。体に害はないのでしょうか?
A. ぜんそくはアレルギー反応などによって気道(気管や気管支)が収縮し、空気の通りが悪くなり、発作が起こります。このためアレルギー反応を抑える薬や気道を拡張させる薬が主に使われてきました。
しかし最近の研究で、気道の慢性的な炎症が、気道収縮を引き起こす原因だとわかってきました。従って発作を予防するには、気道の炎症を抑えなければなりません。そのために有効な治療薬が「吸入ステロイド」です。初期の炎症の段階から吸入ステロイドを投与して発作を予防しようとするのが、現在の治療法です。
吸入ステロイドとは、気道に直接ステロイド剤を投与するもので、噴霧式や微粒子状のものなど、いくつかの種類があります。あくまで気道に局所的に用いるので、全身への副作用はほとんどありません。まれに声がかれることがありますが、吸入後にうがいをして、口やのどの奥に残る吸入剤を洗い流せば、副作用を軽減できます。医師の指導の下で正しい使い方をしましょう。気道の炎症が治まれば、医師の判断で投与をやめることもあります。
ご質問にもあるように、ステロイド剤の副作用を心配して、処方された吸入ステロイドを使うのをためらう患者さんもおられますが、それはかえって危険です。ぜんそくは重症の発作を起こすと呼吸困難に陥り、場合によっては「ぜんそく死」に至ることもあります。吸入ステロイドの普及でぜんそく死が減ったと言う研究データもあるので、頻繁に発作を起こす患者さんは吸入ステロイドの投与が不可欠です。また最近は「ビークフローメーター」を使って家庭でも簡単に最大呼気流量を測定できるようになりました。最大呼気流量はぜんそくが悪化すると低下するので、日ごろ測定していれば、早めに悪化に気付きます。治療効果判定や投薬を滅量する際の目安としても役立ちます。
ぜんそくは遺伝的素因にストレスや喫煙、風邪などの環境要因が重なって発症します。大人になって発症するケースも少なくありません。近親者にぜんそく患者がいる人で「風邪を引いた後、せきが長期間続いてたり、息苦しさを感じる」「就寝中や掃除をしているときなどに『ゼーゼー、ヒューヒュー』というぜい鳴が聞こえる」場合は、内科や呼吸器科を受診されることをおすすめします。